2011年6月11日 村上春樹がバルセロナで、今回の福島原発について講演しました。
その最初の部分が次の文です。
日本語には無常(mujo)という言葉があります。
いつまでも続く状態=常なる状態はひとつとしてない、ということです。
この世に生まれたあらゆるものはやがて消滅し、すべてはとどまることなく変移し続ける。
永遠の安定とか、依って頼るべき不変不滅のものなどどこにもない。
これは仏教から来ている世界観ですが、
この「無常」という考え方は、宗教とは少し違った脈絡で、日本人の精神性に強く焼き付けられ、
民族的メンタリティーとして、古代からほとんど変わることなく引き継がれてきました。
「すべてはただ過ぎ去っていく」という視点は、いわばあきらめの世界観です。
人が自然の流れに逆らっても所詮は無駄だ、という考え方です。
しかし日本人はそのようなあきらめの中に、むしろ積極的に美のあり方を見出してきました。
もちろん村上春樹の言いたいことは、後半の「原子力発電・・・核にノー」という部分なので、
ここだけ引用されても困るかもしれませんが、「諸行無常」という言葉は日本だけのものではないと思います。
東洋に(インドに)あこがれたジョージ・ハリスンに 「すべては過ぎ去っていく」「諸行無常」「万物流転」という題の曲があります。
ジョージ・ハリスンが「諸行無常」という言葉を知っていたかどうかはわかりませんが、
ジョージがビートルズ解散後最初に出したアルバムの表題曲です。
「All Things Must Pass」はジョージ・ハリスンらしい歌詞で、彼の代表曲といってもよいのではないでしょうか。
オール・シングス・マスト・パス (ジョージ・ハリスン)
朝焼けは午前中ずっと続くわけじゃない
夕立だって一日中続くわけじゃない
僕の愛も終わるようだ
なんの予告もなく
君を置いてきぼりにしてね
でも灰色のままじゃない
いつまでも落ち込んでいることはないよ
すべては過ぎ去っていく
夕焼けも夜までずっと続くわけじゃない
雲も心ひとつで吹き飛ばすことができる
結局僕の愛は終わりさ
僕らは別れないといけないようだ
でもいつまでも灰色の状態ではないからね
すべては過ぎ去っていく
人生の道しるべを 失う時がある
経験したことのない事態に直面する時もある
だから僕は自分の信じた道を進まなくっちゃならない
そして新たな一日にむかっていく
どんなに夜が暗闇に覆われようとも
朝になると 暗闇は消え去ってしまう
太陽の光は丁度いい時に射してくれる
昼間の太陽は有り難いものさ
いつまでもずっと灰色というわけではないよ
すべては過ぎ去っていく
光も 闇も いつまでも続きはしない
すべては過ぎ去っていく
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